理学療法士から相続専門の税理士法人へ転職して、4ヶ月で辞めた話

大幅な業界チェンジなんてきっかけ一つかと

数ある転職の中でも、一番短かったのがこの転職です。相続専門の税理士法人。在籍期間、わずか4ヶ月。我ながらなかなかの記録だと思っています。

きっかけは、3年半かけた予備試験の勉強

話は2018年に遡ります。当時、司法試験予備試験の勉強を始めました。予備試験というのは、司法試験を受けるための前段階の試験のようなものです。今、司法試験を受けるにはロースクールを卒業するか、この予備試験に合格するかの2択しかありません。私はロースクールという選択肢を取れなかったので、必然的に予備試験ルートでした。この予備試験ルート、合格率がかなり低く、突破できればエリートコースと呼ばれることもあります。

試験科目は7科目に加えて一般教養もあり、法律科目はどれも専門性が高くて手強いものばかりでした。その中の民法という科目に、相続法という分野があります。これを勉強している中で、ふと思いついたんです。医療は生前、相続は没後。分野は違うけれど、人生という一本の線の上では、意外と近いところにあるんじゃないか、と。

3年半勉強してきた法律知識を、なんとか活かせないか。私はそう考えて、相続専門の税理士法人への転職を決めました。

面接は突破。でも現実は違った

我ながら筋の通った志望動機だったと思います。面接も無事に通りました。ここまでは順風満帆でした。

ただ、実際に働き始めてみると、想像していた仕事とはまったく違いました。相続と聞くと、遺言書の作成や財産分配を事前に考えるような、法律知識をフルに使う仕事をイメージしていたんです。でも実態は、ひたすら事務作業。法律の「ホ」の字も出てこない、税金の計算に明け暮れる毎日でした。

知識を活かしたくてこの世界に飛び込んだのに、これは違うなと。私はそう感じるようになりました。

4ヶ月での退職。そのあと

結局、4ヶ月で退職を決めました。その後もしばらく予備試験の勉強は続けていましたが、さすがに30歳も過ぎたし、そろそろ一区切りつけようと決意。法律の世界からは距離を置くことにしました。

実は今の会社に入るタイミングで、ある番組制作会社の法務部から内定をもらっていました。給与面などを総合的に考えて、今の会社を選んだ形です。

転職エージェントに相談していればもう少しスムーズだったのかもしれない、と考えたこともあります。ただ、実際にエージェントを使ってみると、そこまで細かい業務内容を把握しているのかというと、正直怪しいところもあると私は思っています。結局、避けられなかったミスマッチだったんでしょう。シンプルに運が悪かった、というだけの話です。転職を考えている方、お互い頑張りましょう。

相続の現場で見た「人生の出口」

短い期間でしたが、この仕事で見た光景は今でも印象に残っています。相続税をたくさん払って亡くなっていく人を、何人も見てきました。結局、お墓にお金は持っていけません。それでも、残された家族は、どこか少し幸せそうに見えました。

ちなみに、相続税の対象になるほどの財産を持っている人は、全体の1割ほどと言われています。裏を返せば、9割の人はそもそも相続税を心配する必要すらありません。この現場で私が感じたのは、財産をどれだけ残せるかより、渡す相手がいて、渡す準備ができているかどうかの方が、よほど大事なんじゃないかということでした。まあ、財産を残せるほどの家庭に生まれられたかどうかという、いわゆる親ガチャの要素も大きい気はしていますが。

正直、当時はそこまで深く考えていたわけじゃなくて、辞めた後になってから、ああいう意味だったのかもなと繋がってきた感じです。今こうして資産形成の記録をブログに残しているのも、あの4ヶ月がなかったら、たぶん違う形になっていたと思います。回り道は回り道でしたが。